但馬の小京都、出石
出石(いずし)は、兵庫県豊岡市にあり、かつて出石城があった城下町です。現在も江戸時代からの城下町の面影を残し、「但馬の小京都」とも呼ばれ、国の重要伝統的建造物群保存地区となっています。
周辺には城崎温泉や竹田城跡などの有名観光地もあり、それらと組み合わせて訪れる人も多い場所です。
その出石は今、特に注目を浴びています。それは映画『国宝』の舞台となった場所(出石永楽館)が出石にあるからです。映画の大ヒットとともに、聖地巡礼として出石を訪れる観光客が増えているようです。
出石城跡
一国一城による但馬唯一の城
出石城は1604年、小出吉英によって有子山の麓に築城された平山城です。出石城の築城とともに城下町が整備され、現在の出石の町並みを作っています。

最上段にある稲荷神社の赤い鳥居を潜り抜けると、頂上からは城下が一望できます。

辰鼓楼(しんころう)
日本最古年と伝わる時計台
辰鼓楼は明治時代1871年に太鼓を鳴らして時を知らせる楼閣として建てられました。1881年に現在の時計台の姿となり日本最古の時計台です。高さは約13メートルあり、町並みの中では目立っており、出石のシンボル的存在です。
出石永楽館
但馬の大衆文化の中心であった芝居小屋
出石永楽館は、明治34年に開館した近畿最古の芝居小屋です。歌舞伎、新派劇、寄席などが上演されています。興行の無い日は一般公開されていて、有料で見学が可能です。
テレビの普及や娯楽の多様化などにより一度は閉館されましたが、やがて復活を望む声が高まり、平成20年に44年の時を経て復活しました。
古い手書きの看板や柱の落書き、傷も明治の閉館時のまま残されており、出石永楽館の歴史を感じることができます。
永楽館歌舞伎は、歌舞伎俳優の片岡愛之助さんが出演する舞台で、出石の一大イベントとなっています。
この日は何かの興行中で、内部を見学することができませんでした。

さらに、この永楽館が吉沢亮主演の映画「国宝」のロケ地になったことから、それを目当てに多くの観光客が訪れていました。興行で貸切日であることを知るとがっかりする観光客の声も聞こえてきました。
出石はこのブームに拍車をかけるように、町中に、出石永楽館ののぼりと映画「国宝」のポスターを飾っています。
弘道地区コミュニティセンターのエントランスには、映画「国宝」のポスターなどが展示されていました。
所在地:兵庫県豊岡市出石町柳17-2
アクセス:バス停(松枝/全但バス)徒歩1分
営業時間:9:30~17:00 最終入館時間16:30
休業日:毎週木曜日 12/31・1/1休館
※公演日・貸館日は館内の見学不可
沢庵寺【宗鏡寺(すきょうじ)】
沢庵和尚が再興したお寺
たくあんで知られる沢庵和尚により1616年に再興されたお寺で、出石藩主の菩提寺として栄えました。
寺内には沢庵作の庭園や夢見の鐘など沢庵和尚にまつわる品が数多く残っています。
城の鬼門に位置し、出石の見守り役も果たしています。
地元の子どもたちとたくあん作りをするなどのイベントも行っています。
所在地:豊岡市出石町東條33
アクセス:豊岡駅から出石行き全但バスで30分「沢庵寺口」下車徒歩約10分
拝観時間:9:00~16:00
拝観休止:1月、2月、7月、8月、貸し切り日、法要
出石そば
出石焼の小皿に盛りつけた皿そば
出石の郷土料理といえば、出石そばです。
出石にはたくさんの蕎麦屋がありますが、出石出身だという宿のオーナーの勧めで「沢庵」という店に行きました。
沢庵和尚の末裔が運営しているお店とのことでした。
出石そばの特徴は、出石焼の小皿に盛りつけた皿そばを何枚も食べる独特の様式です。この形式となったのは幕末の頃です。五枚一組を一人前とし、薬味と徳利に入ったダシでいただきます。
薬味は玉子・とろろ・ねぎ・大根おろし・わさびなどがあります。
皿に使われている出石焼は国内でも珍しい白磁で、柿谷陶石という純白の原料を使って作られ圧倒的な白さを誇ります。
出石そばの食べ方
- つゆをお猪口に注ぎ、つゆの旨みを味わう
- まずそばとつゆだけで麺を味わう
- 薬味として葱、わさびでさっぱりといただく
- 山芋、卵で違った美味しさを味わう
- 最後につゆにそば湯を入れて味わう
出石焼は「いずし観光センター」でも展示販売しています。
狩野牧場内堀店の黒豆ジェラードです。いずし観光センターの近くには、ベンチがたくさんあり、スイーツなどを楽しめるお店が並んでいます。
出石酒造
宝永5年創業の老舗蔵元
1708年から続く造り酒屋です。代表銘柄「楽々鶴(ささづる)」は、酒の別名である「笹の露」と、出石藩主・仙石公の別荘「楽々園」に由来しています。
昔ながらの製法で作られる楽々鶴は、店内で試飲できます。
定期的に開催される「酒蔵コンサート」は出石の名物イベントです。